2016/10/25

1票の格差

さて、国会議員1人に対する、有権者数の格差が裁判沙汰になって久しい。憲法違反と言ってしまうのは簡単だが、じゃあどうするかとなると難しい。

今の小選挙区制では一般に都市部では議員1人あたりの有権者数が多く、田舎では少なくなる。選挙区を広くして複数の議員を当選とする中選挙区制にすればある程度は緩和できるが、それは金権政治の温床であるという批判で今の小選挙区制に移行した手前、いまさら戻しにくい。
2県で議員1人という合区も実施されたが、それでも格差は大きい。おまけに合区された地域は不満タラタラである。地域の代表という意義が薄れる上に、ド田舎と認定されたようなもので気分はよろしくないらしい。この問題、議員先生の選挙区のナワバリ争い以上に、地方人の地元意識という感情的なものとも絡み制度改革は難しいのだ。

そこで、画期的提案をしよう。このシステムなら、格差問題は完全に解消する。

議員1人の投票権の重みを、選挙民の数によって変えるのだ。
選挙民の多い東京選挙区の議員は1票を持つ。若干少ない地方都市部であれば、0.7票、過疎地域であれば0.4票という具合に按分する。国会での決議は完全にこの按分された投票権の合計で可否が決まる。もちろん議員の給与も按分される。

うむ、素晴らしい。

2016/10/17

3月のライオン

 小説でもマンガでも、あまりに引き込まれると数日眠れなくなるということがある。読み続けて徹夜してしまうのではなく、読み終えた後に登場人物の持っているであろう感情やら何やらがぐるぐると頭の中で回り続けて整理が付かないのだ。

 というわけで、久しぶりに寝不足に陥らせた「3月のライオン」である。タイトルからは連想できないが将棋マンガである。「あぁ、ちょっとマイナーなジャンルを取り上げて、トリビアや小ネタ散らしながらの青春マンガね」などとナメているとエラい目に遭う。

 もう人物の描きこみが巧みすぎる。(注:絵や設定の細かさの話ではない) 人物の描写はむしろ説明不足なほどだ。説明不足だから、なぜそういう行動をとるのか判らない。物語の進行に合わせて人物はどんどん描きこまれる。次第に深みを増す人物像。紙の上でその人物の設定を作って動かしているのではない。まるで木材から人物を彫り出していくかのような描き方だ。
 そしてそれで見えてくるのは、能天気な無敵の主人公ではなく、それぞれに問題を抱え苦悩し、それでも前に進む者、立ち止まる者、その人間臭い喜怒哀楽である。凄い!何モンだ、この作者!?

 しかしまー、恐ろしいな。ここまで緻密に物語を組めるもんかな?どこまでが計算なんだろう。これに比べたら、その辺の少年漫画の主人公なんかペラッペラの驚きの薄さだな。いや恐ろしい。

NHKでアニメが始まったらしいが、とりあえずコミックスをお勧めする。

2016/10/04

君の名は。

というわけで、映画づいてしまい、大ヒット上映中の「君の名は。」である。

いやー、背景というか空の表現は相変わらず素晴らしい。ただひたすら美しい。キャラクタが浮いてしまう程の描き込みである。
ストーリーも引き込まれる。良い映画だ、とオススメもできる。
しかしだ!
(ネタバレしそうなので空ける)


















 男女入れ替わりという、少々使い古されたネタを持って来たのまでは仕方ない。あとはそれをどう料理するかである。大都会とど田舎という対比も面白い。何やら曰くありげな神社や儀式は、それだけでもうひとネタいけそうだ。
 ただ最後がいけない。ストーリー上、そうあるべきなのはわかる。そうあって欲しいとも思った。しかし、私世代のおっさんにとっては、男女入れ替わりはどうしても「転校生」を連想せずにはいられないし、ラストシーンは「×××」かよっ!?とツッコミが入ること必定である。

余談
いいなぁ、大彗星を眺めながら死ねるなんて、最高じゃん。天文ファンの夢です。

彗星が月軌道よりも内側を通過すると、彗星の見え方はあんなもんじゃ済まないんじゃなかろうか? 長大過ぎてもはや尾には見えないような全天を覆う光の帯で、中心核は満月のように輝く、と思う。


2016/10/03

帰ってきたヒトラー

「シン・ゴジラ」を観るつもりだったのだが、ウチの近くの映画館では、既に昼1回/日の上映となっており、見るのは難しそうだ。
で、「帰ってきたヒトラー」を観てきた。

 笑える。特に「ヒトラー最後の12日間」を予習で観ておけば、爆笑間違いなしである。しかし、映画のアオリ文句の通り、単純に笑えない怖さがある。

 ヒトラーの言っている事が無茶に聞こえないのだ。
そうだ、彼は愛国者だった。「世界征服を狙う悪の独裁者」というイメージは戦勝国のプロパガンダだった。彼はドイツを愛し、一次大戦で疲弊したドイツを建て直そうとしたのだ。それは半ば成功した。その手段は無茶だったし、結果は最悪だったとしても。

 現在の移民の流入で社会問題が深刻になりつつあるドイツ。ドイツ人の持っている不安や不満、怒りにヒトラーは見事に答えているのではないか? ナチズムは過去のものではなく、現代でも、ドイツのような先進国でも起こりうるのだという警告と見るべきなのだろう。
 しかーし!キレイゴト抜きで、ヒトラーが正しいと思う。私は。

 ちなみに製作が2014年。現在の無制限な移民流入が大問題となる以前の作品である。