2017/11/20

鋼の錬金術師

鋼の錬金術師 全27巻:荒川弘

 え、こんなメジャータイトル読んで無かったの!?
と言われそうだが、そうなのだ。売れてるうちは読まないで、ほとぼりが冷めてから読むヒネクレ者です。すまん。

 あらすじは省略!わざわざ紹介するまでも無いだろう。

 さて、バトル漫画でここまで長期連載すると大抵は強さのインフレ化が進み、ストーリーはグチャグチャ、主人公はもはや何のために戦ってたんだっけ?ということになりがちである。
 「鋼の錬金術師」の良いところは、しっかりとしたストーリー展開とキャラクターの描き込みである。主人公だけでなく、脇の人物から敵役までしっかりと成立しており、単なるバトル漫画ではなく群像劇と言えるだろう。
 群像劇でありながら、王道である少年の成長の物語をしっかりと描き、戦いを描き、謎を解き・・・、素晴らしい!
 絶賛です。

2017/11/15

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 地上波で放送してくれたので見る。
 なるほど、庵野だ。特撮マニアの趣味全開である。ゴジラの巨大さというものを理解させる構図で撮られている。これは昭和ゴジラでも平成ゴジラでも同様なのだが、ゴジラは巨大なものというお約束が浸透しているせいで、巨大なものが街中で動くとこう見えるという視点がスッパリと欠けている。おかげでいくら細かく手間をかけてもミニチュアの街で着ぐるみが暴れているというショボイ画しか撮れない。
 デカイもんはアオリで撮るんだよっ!基本だ、基本!! スケール感って知ってるか!?全体を入れようとして俯瞰で撮るんじゃねえっ、クソ共がっ!円谷が墓で泣いてるぜ。
 という庵野の叫びが聞こえてくるようである。
 東京を舞台としたゴジラの撮り方は絶賛である。これは「巨神兵東京に現る」がかなり予行演習になってるんではないか、と思わせる。映画館の大スクリーンなら迫力も増すことだろう。

 さて、これだけ迫力ある映像を創ってくれると、それだけで大満足であるが、ストーリーもなかなか捻ってある。
 序盤の会議ばかりやってる政府の様子はもう苦笑するしかない。ハリウッド映画なら、もう米軍が出動してドンパチが始まってる頃合であるが、「え~、関係省庁間の連絡を密にしてぇ~」のような政府の悠長さは、リアリティがありすぎて嫌になる。
 しょーもないロマンスなネタを排除してあるのも良い。どういう訳か映画というのは恋愛要素を入れずには成立しないと思っているようなのだ。ゴジラを見る客層がそんなもの求めている訳ないだろう?という割り切りは見事だ。

 そしてこの映画唯一と言って良い意味不明なもの「カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)」である。苦労してリアリティを積み上げてきたハズのこの映画を一撃で「あれ?コメディ映画だったの?」と、観客の頭の上に「?」マークを量産したに違いない意味不明な存在。なんでこんなの入れたの?ここだけ笑いを取りたかったの?どうしても使えという上層部の圧力ですか?それとも「石原さとみ」の女優生命をこの作品で終わらせてやろうという企みですか?

 というわけで、とても面白い映画でした。石原さとみ以外。