2017/11/15

シン・ゴジラ

シン・ゴジラ

 地上波で放送してくれたので見る。
 なるほど、庵野だ。特撮マニアの趣味全開である。ゴジラの巨大さというものを理解させる構図で撮られている。これは昭和ゴジラでも平成ゴジラでも同様なのだが、ゴジラは巨大なものというお約束が浸透しているせいで、巨大なものが街中で動くとこう見えるという視点がスッパリと欠けている。おかげでいくら細かく手間をかけてもミニチュアの街で着ぐるみが暴れているというショボイ画しか撮れない。
 デカイもんはアオリで撮るんだよっ!基本だ、基本!! スケール感って知ってるか!?全体を入れようとして俯瞰で撮るんじゃねえっ、クソ共がっ!円谷が墓で泣いてるぜ。
 という庵野の叫びが聞こえてくるようである。
 東京を舞台としたゴジラの撮り方は絶賛である。これは「巨神兵東京に現る」がかなり予行演習になってるんではないか、と思わせる。映画館の大スクリーンなら迫力も増すことだろう。

 さて、これだけ迫力ある映像を創ってくれると、それだけで大満足であるが、ストーリーもなかなか捻ってある。
 序盤の会議ばかりやってる政府の様子はもう苦笑するしかない。ハリウッド映画なら、もう米軍が出動してドンパチが始まってる頃合であるが、「え~、関係省庁間の連絡を密にしてぇ~」のような政府の悠長さは、リアリティがありすぎて嫌になる。
 しょーもないロマンスなネタを排除してあるのも良い。どういう訳か映画というのは恋愛要素を入れずには成立しないと思っているようなのだ。ゴジラを見る客層がそんなもの求めている訳ないだろう?という割り切りは見事だ。

 そしてこの映画唯一と言って良い意味不明なもの「カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)」である。苦労してリアリティを積み上げてきたハズのこの映画を一撃で「あれ?コメディ映画だったの?」と、観客の頭の上に「?」マークを量産したに違いない意味不明な存在。なんでこんなの入れたの?ここだけ笑いを取りたかったの?どうしても使えという上層部の圧力ですか?それとも「石原さとみ」の女優生命をこの作品で終わらせてやろうという企みですか?

 というわけで、とても面白い映画でした。石原さとみ以外。

1 件のコメント:

GOZEN さんのコメント...

石原さとみはあちこちで散々な言われようですな(^_^;)
自分は、特によかったとも思わないけど悪かったとも思わなかったです。
#確かに最初は「ん〜!?」と思ったけれど見ているうちに馴染みました。

ゴジラの表現についてはまさにその通りで、自分が劇場で見て欲しいと言った一番の理由です。