2019/12/10

永世中立

永世中立を唱えるスイスを理想国家であるかのように思っているヒトがいるが・・・

スイスの中立政策は軍事的、地政学的な理由があります。

1.国民皆兵
 兵役があり、成人男性は全て兵士。全国民780万人のうちの20パーセントとしても150万人が現役または予備役の戦える兵士である。

2.守り易く攻め難い
 周辺国からは山脈と河と湖で隔てられた国土。都市は占領できても、山岳地帯に篭られてゲリラ戦をされるとお手上げ。スイスは国を挙げて山岳地に防衛拠点を設置するなど防備に力を注いでます。
 地の利がスイス側にあるのは明白で、山岳戦のできる部隊など数を揃えられる訳が無い。


3.戦略的価値の無さ
 中世の昔からスイス傭兵の精強さは有名ですが、それには訳がある。冷涼な気候で農業に向いた土地はわずかしかなく、ロクな産業も無いため、スイス人男性でも次男、三男などは食い扶持を稼ぐために他国へ傭兵として出稼ぎするしか無かったから。ネパール傭兵と同じ。
 要するに不動産としてのスイスの価値は低い。国境を接する国は多いが、どれも難路ばかりで交通の要衝とは言えない。観光地としてならまだしも、侵略するような価値は無い。


 現代においては、圧倒的な戦力差で空爆し地上軍を送り込めば占領は可能だろう。しかし、その後は泥沼のゲリラ戦が続くだろう。そして、そんな苦労をしてまで占領するほどの価値が無い。とまでくれば、わざわざ攻めようというヤツはいない、という事である。
 スイスはこの辺の損得の事情を十分に理解している。「自国だけでの防衛が可能」と踏んでいるがゆえの「中立」である。そして他国の事情で戦争に巻き込まれることが無いようにするための「中立」である。

 決してスイス人が公明正大な正義の国民だからではない。

 島国の日本で永世中立をやろうとすると大海軍が必要になるよ。米国と殴りあえるような。…でもそれって、大日本帝国じゃないか?

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