2006/12/28

硫黄島からの手紙

 観てきた。重苦しい映画だった。
…だけでは話にならないのだが、ありがちな「感動する」映画ではない。ただ淡々とストーリーは進み、島は圧倒的な米軍に包囲され、島での戦闘が始まる。「プライベート・ライアン」の冒頭のような迫力はない。暗闇で戦闘は続き、バタバタとあまりにも簡単に人が死んでゆく。後半のシーンのほとんどが地下陣地と夜であるため、いっそう重苦しさが増す。戦史ドキュメンタリーを見ているような乾いた視点に近い。
 日本兵達の考証はよく行われており、兵士達の心情も納得できるものだった。「ラストサムライ」は日本人からすると変な描写が多かったが、あれでもかなりマシなほうだと思う。特に栗林中将の「天皇陛下万歳!」のシーンは日本映画では絶対にできなかったであろう。

 もしこれが日本映画であれば、くだらない感動演出でこの映画をぐだぐだの駄作にしてしまったであろうことは容易に想像できる。この映画は、乾いた視点であるからこそ価値があると思う。

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